本場結城紬

 結城紬は栃木県小山市、下野市、茨城県結城市およびその周辺で生産されている絹織物です。真綿から紡いだ糸で織られた結城紬は、高級織物としても知られています。しかしその昔は、軽くて丈夫で暖かい織物として広く人々に愛用されていました。

 すべてが手作業で行われる結城紬は「真綿から糸をつむぐ」「紋様づくりの絣くくり」「地機で織る」という三工程を満たし、昭和31年に国の重要無形文化財に指定、昭和52年に国の伝統工芸品として指定、さらに平成22年11月16日にはユネスコの無形文化遺産に登録されるなど、その技術は世界にも高く評価されています。

絣くくり

「絣くくり」は織物の紋様づくりです。絣模様になるところを木綿糸で硬く縛っていきます。縛った木綿糸は「たたき染め」で全体を染める際の防染となり染料の浸透を防ぎます。木綿糸を解くと染まらずにいた紬糸がくっきりと現れます。「絣くくり」で最も重要なことは、常に均一の力で硬く縛っていくところにあります。

たたき染め

「たたき染め」は結城紬特有の染色技法です。細い木綿糸でしっかりと「絣くくり」された紬糸の束は、染料の液に浸しただけではくくった糸の際まで染料が浸透しません。そのため「たたき染め」を行います。染料の浸透を調整しながら繰り返し叩くには、熟練の技と勘が必要になります。

地機織り

「地機」はもっとも原始的な織機といわれ、その大きな特徴は、機に張る経糸を腰で吊り、張り具合を調整しながら、からだ全体を使って織り込んでいくところにあります。緯糸は筬で打ち込んだ後、さらに杼で強く打ち込みます。丈夫で暖かい結城紬独特の風合いは、地道で緻密な作業の繰り返しからなっています。